検査結果や体調などから患者様の体質を見極める。
患者様の今あるご不安を私達にお話ください。

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心不全とは?

心不全とは心臓が止まることではなく、心臓が体全体に十分な血液を送るために必要な動き(仕事量)を維持できなくなることをいい一般的には、その仕事量を血液検査のBNPで心機能として数値化しています。
 
また心不全は心臓からの血液の拍出量の低下を招き、それに伴って腎血流量なども低下し腎障害を悪化させます。
 
このように心臓と腎臓の2つの臓器は,一方が障害を受けると他方の機能も悪化するといった、互いに依存関係が強いことが知られており、心-腎連関と呼んでいます。

心不全の目安:BNPとは?

心不全の目安
-BNPとは?

 

血液検査の項目でBNP というものがあります。BNPの正式名称は「脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチド」といい、脳で発見されたホルモンなのですが、現在は心臓(心室)から分泌されるホルモンとして知られています。

BNPは血管を拡げ、尿の排出を促す作用を持っており、心臓への負担を和らげる生理作用があります。

つまり、そのBNPが高くなる事は「心臓に負担がかかっている」という状況を表しており、「心不全」を診断する上での指標になっています。
  

また病院によってはBNPの代わりにNT-proBNPという項目で検査する場合があります。BNPとNT-proBNPは同じ指標として使われますが、基準値がお互いに違うので注意が必要です。
 
血液中のBNPが100pg/mL以上 (NT-proBNPでは400 pg/mL以上)が心不全の診断の基準値となっています。
 

なぜ心不全で胸水が溜まるのか?

なぜ心不全で
胸水が溜まるのか?

 

胸膜腔には健康な人でも少量の胸水が存在しており、呼吸をする際に肺と胸壁との間の摩擦を減らす「潤滑油」として働いています。
 
胸水は、肋骨内面を覆う壁側胸膜にある気管支動脈の末梢毛細血管から作られ、肺を覆う臓側胸膜の毛細血管より吸収されていますが、吸収が悪くなったり、作られる量が多くなった場合には、胸水貯留(胸に水がたまった状態)になります。
 


心不全による胸水が溜まる理由としては
 
①右心不全による静脈圧上昇(全身を巡って心臓に戻ってくる血管)によって胸水の吸収が低下する場合。
②左心不全による肺静脈圧が上昇する事で肺うっ血になり、胸膜腔への胸水の産生が増える場合とがあります。

いずれにしても漏出性胸水の場合が多いとされています。

心不全による胸水の漢方対策とは?

心不全による胸水の
漢方対策とは?

 ①心機能を上げることを目指す

心不全で肺うっ血が生じることで胸水が溜まるので、まず心機能を高めて、肺などに血液がとどまらないようにする必要があります。
 
心不全に関連する漢方の一例として、漢方を利用したところ、BNPが減少したという論文があります。これはあくまで一例ですが、BNPが減少したということは心機能が改善したという目安になるので、漢方でも有用と考えられます。
 
 
病院での心不全の治療はガイドラインが決まっていますが、そこに漢方をプラスすることで心機能を高めることを目指します。
 
  

 ②体全体の血行を良くし胸水の吸収を高める

心不全が落ち着いても全身の血液がバランス良く流れなければ胸水が臓側胸膜の毛細血管から吸収されにくい状態が続いてしまいます。
 
そのため心機能を高めると同時に体全体のバランスを整え血流改善を目指します。
 
 
 


 ③腎機能を高めつつ利水作用の改善を目指す

 
心不全が起きた場合、体内には余分な水分が過剰となる為、胸水や体全体にむくみが起きやすくなります。
 
そのため体内の余計な水分を出すために水をさばく漢方を利用し、体のむくみを取り除きます。
 
 
 
 

次のような
流れで胸水が
抜けていきます

上記の①~③の対策をベースに、体全体のバランスを見ながら対策をしていく結果
 
次のような流れで胸水は徐々に減っていきます。

心機能が上がり血流が向上
その結果、肺の血流も安定
バランスよく全身に血液が流れる
腎臓で不要な水分を濾過
尿として不要な水分を排出
 
※その他では便・汗としても排出されます。

この上記のポイントは“胸水を排出させる対策”だけでなく、心機能向上、血流向上や体全体のバランスのコントロールもしていきますので、結果的に、「胸水が溜まらない対策」にもつながります。

上記の対策では、“心機能を上げ血液の渋滞を緩和する” と “血流を良くし胸水の吸収を高める”さらに“腎機能を上げ余計な水分を代謝する”この3つを漢方で同時に行っていきます。